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「ホカベン」最終回

判決は視聴者の想像に任せる…という感じで、やや物足りなさの残る最終回だったが、これはこの結末でよかったと思う。

裁判の結果が弁護士の存在意義そのものを揺るがすという内容だっただけに、勝ち負けをドラマの中ではっきり示せるというものでもないし、どちらが勝ったとしても後味の悪いものになっただろう。物語としてはある意味苦渋の選択だったのかもしれない。

上戸彩の弁護士ものということで、軽いタッチの内容だと思って見始めたら、とんでもなくシリアスな内容のものだった。期待値が低かっただけに、良い意味で裏切られた。

社会的弱者を守りたいという青臭い動機で弁護士になった主人公が、不条理な現実との間で悩み、もがきながら成長していく。被告と原告の板ばさみになってどちらが弱者なのか分からなくなったり、依頼人に裏切られたり…
弁護士は依頼人のために法律を駆使して最大限の努力をすべきだが、それが必ずしも人道的な正義とは限らない。法律が必ずしも弱い立場の者を守ってくれるとも限らない。いわば、裁判で勝った者が正義。
 
 
主人公と最初は対立しながらもやがて信頼関係を築き、最後は裁判の被告人になっていく杉崎弁護士の存在も光っていた。北村一輝はやっぱりいい役者だなあと思う。
他の登場人物もややステレオタイプ的な描かれ方だが、物語の中での役割がはっきりしていたので良かったと思う。
 
最終回を含め、細かい所で物足りなさの残る回がなくもなかった。そこもうちょっと深く描いてくれたら、という場面もあった。
が、「弁護士の正義とは何か」というテーマがはっきりしていただけに見やすく、変にひねらず奇をてらわず、愚直なまでに正統派のドラマ作りに挑戦しているのが、好感の持てる作品だった。それだけに惜しいとも思う。
 
 
第三話が一番印象に残っている。
会社員が駅で少年(ガタックこと佐藤祐基)と些細なことで言い合いになり、ホームからつきとばされて死亡する。妻(鈴木砂羽)は少年を相手に灯(上戸彩)を代理人として裁判を起こすが、その一方で生活のために家を売らなければならなくなってしまう。
灯は裁判に勝ったが、負けた少年の親は賠償金を払うために家を売らなければならなくなってしまう。
「払えばいいんでしょ!」と札束を投げつけられ、一生懸命拾い集める灯。
結局どちらが負けたとしても、背負わされる犠牲は同じだったのである。
後味の悪い勝利。七人の女弁護士にはありえない展開だ。あれはいつも裁判に勝って事務所のみんなでスイーツ食って終わり、だから。あれはあれでいいんだけど。 
 
 
視聴率がふるわず、「上戸彩では視聴率が取れない」だの「上戸彩が弁護士に見えない」だのネガティブな記事をネットで目にすることも多かったが、我が家的には今期の中でもわりと気に入って見ていたドラマだった。
ろくに見もせずに視聴率だけで是非を言う風潮はいかがと思うよ、まったく。

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